ボールコンプレッションと飛距離の理論
ボールコンプレッションと飛距離の理論
ヘッドスピードとボール反発特性(ミート率)
図は質量Mの物体(クラブヘッドと考える)が静止している質量mの物体(ボールと考える)に衝突する時のものとします。
これを衝突前後の運動量保存とエネルギー保存から、図の中の式がえられます。
ここで、Vo , Vbはそれぞれの衝突前のクラブヘッドの速度、及び衝突後飛び出すボールの初速度です。
この比、Vb/Voの大きいものが反発が良いということになります。
ここでeの値は、これは反発係数と呼ばれているものであり、その大きさは0~1の間です。
これは、エネルギーの損失の程度を示す尺度で、e=0とは、最もエネルギー損失の場合で、e=1はエネルギーの損失のない場合です。
e=0の場合
この場合、完全非弾性衝突と呼ばれ、クラブとボールは反発しない。これは、ちょうどボールが粘土でできている場合です。
インパクトでボールは反発しないでクラブと一緒にくっいて、そのまま運動する状態です。
ここで、ヘッド重量200g、ボールが46gとして理論式に代入するとVb/Vo=0.81になります。
ボールの初速はヘッドスピードより遅いため、ボールは反発しなくなります。
e=1の場合
この場合、完全弾性衝突と呼ばれ、クラブヘッドとボールの反発が一番良い状態です。
この時、Vb/Vo=2×0.81=1.62で、先の場合の二倍になります。
つまり、入射してきたクラブヘッドの1.62倍の速度で飛び出すことになります。
このVb/Voのことをゴルフ業界ではミート率と呼ばれ、この値が高い程ボールの反発は良く、ボールは良く飛ぶことになります。
ところが、実際にドライバーを用いた実験を行うとミート率は1.5ぐらいの結果しかでず、完全弾性帯の1.6よりかなり低い値になります。
クラブヘッドは硬い金属なので完全弾性体とみなしても、ボールはそう見なせないことになります。
ミート率1.5を代入して見ればe=0、85となり15%程度は非弾性の要素がボールに含まれていることになります。
しかし、この計算にはボールの変形が考慮されていません。
そこで、ゴルフボールの質量mの質点とバネ定数Kの実験モデルで考えてみます。
このモデルでインパクト前半はボール自体のバネ効果でボールは押しつぶされ、後半では、このこのスプリングが伸びる事で、ボールはヘッドを蹴って飛び出します。
つまり、反発して飛び出すというメカニズムになります。
このボールの圧縮し、伸長するのを一種の振動とみなすと、この質点mとバネ係数Kからなる固有振動数は2π√K/Mで表せます。
ボールにはコンプレッション値と言う硬さを表す尺度があり、Kがこれに当たります。
つまり、コンプレッション値の高い、硬いボールは固有振動数が高く、飛び出しも速いことになります。
逆に、コンプレッション値の低いボールは軟らかくゆっくりっしている。
これらを、球離れが「速い」「遅い」と表現します。
ボールはこのように、ヘッドから振動で飛び出し、ボールの初速は、この振動による速度と、その時のヘッドスピードの和になるのです。
この様にして、理論的に前記ミート率を計算すると Vb/Vo=1.54 となります。
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ボールのバネ係数
実際に上の方程式で、ドライバーを用いた実験では100%のミート率は1.5程度で実際のミート率に比べ低い数値になります。
これは非弾性の要素がボールに含まれていないことが原因です。
Mはクラブの質量、mは静止しているボールの質量になります。Voはボールに衝突まえのクラブヘッドスピードで K の赤い矢印はバネ定数でLはバネ定数での大きさになります。
Lが長いほど球離れが遅く、Lが短いほど球離れが速いことです。
つまり、インパクトでボールの変形が考慮されていないことです。そこで、ゴルフボールの質量mとバネ定数Kを考慮して考えて見ます。
インパクトでボールはバネKに押しつぶされ、このKがスプリング効果でボールはヘッドを蹴って飛び出す。つまり、反発でボールが飛ぶメカニズムになります。
このインパクトでボールが押しつぶされ圧縮される伸長は一種の振動【K】と見なすことができます。
ボールにはコンプレッション値という硬さを表す尺度がありKはそれに相当します。
このコンプレッション値の高い、硬いボールは固有振動数が高く飛び出しも早くなります。逆にコンプレッション値の低いボールは柔らかくゆっくりしています。
こらは、球離れが速い 遅い と表現します。
ボールはこのようにクラブヘッドから振動で飛び出し、ボールの速度はこの振動による速度とその時のヘッドスピードの和になります。
このようにして理論的にミート率を計算すれば
Vb/Vo=1.54 となり不思議なことにバネ定数Kは式の途中で消えることです。
Kの値の大きなボールつまり、硬いボールは変形量が少なく短時間で反発し、Kの値が小さい場合柔らかいボールで変形量が大きく、より長い時間で弱く反発します。
しかし、重要なことは、変形の総エネルギは変わらないことです。これは、ボールのコンプレッション値は反発に無関係なことを意味します。
この事実は以下の表で示す実験結果からで明らかです。
同じ種類のボールのコンプレッション値を変えてロボットで38msと45msで試打し、その飛距離(キャリー)を測定したものです。
メーカボール | コンプレッション値 | ヘッドスピード 38m/s | ヘッドスピード 45m/s |
---|---|---|---|
A社 ボール1 | 103(ハード) | 179 |
217 |
A社 ボール2 | 90(ソフト) | 179 |
217 |
B社 ボール1 | 129(ハード) | 181 |
225 |
B社 ボール2 | 116(ソフト) | 183 |
225 |
C社 ボール1 | 120(ハード) | 181 |
227 |
C社 ボール2 | 108(ソフト) | 183 |
222 |
D社 ボール1 | 103(ハード) | 185 |
216 |
D社 ボール2 | 85(ソフト) | 183 |
218 |
これを見ると異なるメーカの銘柄間には、若干の飛距離の差はあるが、コンプレッション値の異なることに影響は認められません。
単純な二質点の衝突の式では、E=1の完全弾性体の場合、ミート率が1.62で現実に求める1.5とは異なりました。したがって高分子で出来ているボールは、完全弾性体でないと仮定します。
しかし、インパクトでボールが一旦変形したスプリングの復元によって飛び出します。つまりボールは、振動エネルギーを内臓しながら飛び出すと考えられます。
すると、理論的なミート率は現実のものに非常に近いものが得られます。というのは現実のミート率1.5の中には、ボールのスピンのことも含んでおり純粋な板とボールとのミート率を実現した場合、この1.54のミート率にほとんど一致するからです。
しかしながら、現在のところ、これらのボールの反発に関して完全に説明できる理論は確立されていないのが現実です。
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